top of page
D-001-1_edited.jpg
D-001-1_edited.jpg

3カ月かかった作業が1クリック1秒で完了!?
LCC自動算定ツールの導入背景と大和ハウス工業が見据えるビジョンとは?

住宅総合メーカー業界最大手の大和ハウス工業株式会社は1955年、「建築の工業化」を企業理念に創業し、鋼管構造による創業商品「パイプハウス」をはじめ、プレハブ住宅の原点「ミゼットハウス」などを開発。以来、同社は一貫して“多くの人の役に立ち、喜んでいただける商品開発やサービスの提供”に努め、現在では戸建住宅をコア事業に、賃貸住宅、分譲マンション、商業施設、事業施設、環境エネルギーなど幅広い事業を展開しています。

 

近年、特に注力している環境エネルギー事業の分野では2050年の温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラル戦略を進めており、建物を建てるほど社会に省エネルギーや再生エネルギーが普及する仕組みを創出し、脱炭素への取り組みを進めています。そんな大和ハウス工業の建築系共通技術部門 設備推進部 環境・設備グループでは、特に病院などの施設・設備の設計支援をおこなっています。今回、ゴーレムとLCC自動算定ツールを共同開発した背景と今後の展望についてお話を伺いました。

導入前の課題

提案初期段階でのLCC算出が難しい状態で課題を抱えていた

昨今の人件費や部材費、機器費用の高騰で、病院では今まで以上に施設設備に対するランニングコストをシビアに考える傾向が強まってきており、提案初期の企画段階でLCCを含めた提案を求められるケースが増えてきているという。しかし、大和ハウス工業が利用していたツールでは、提案の最終局面である最終図面ができあがったタイミングでしかLCCが算出できないということが課題となっていました。

建築系共通技術部門 設備推進部 環境・設備グループ グループ長 滝山 理恵 氏

「お客様に対するプレゼン時『プロポーザルにLCCも含めて提案して欲しい。』と伝えられることがありました。その際に『初期段階で精緻なLCCは出せません。』とお断りしていましたが、他社では同じ段階での提案時にLCCを盛り込んでいるので、提案負けしてしまうようなケースがありました。」と滝山氏は語ります。

 

大型施設における環境設備は、プロポーザル方式と呼ばれる企画競争入札が用いられることが多く、企画の初期段階で企画書や提案書の提出が必須となります。そのようなビジネス背景と人件費などのコストが高騰している時代背景から、LCCの事前算定が課題となり、その課題を解決するソリューションとして、ゴーレムとLCC自動算定ツール開発の検討が始まりました。今回、大和ハウス工業においてビルや病院などの複合施設や商業施設向けの環境設備を提案する部門である設備推進部 環境・設備グループでは、LCC自動算定ツールをゴーレムと共同で開発しました。

導入後の効果

LCC自動算定ツール利用により、2~3カ月かかった作業が1クリック1秒で完了!?

設備推進部 環境・設備グループでは、LCC自動算定ツールを導入したが、導入に際して効果を検証するために手作業でLCCの算定を実施しました。その作業を実際に行った主任の田村氏は当時を振り返り語ってくれました。

建築系共通技術部門 設備推進部 環境・設備グループ 主任 田村 優子 氏

「LCCの詳細入力を私含めて3名で実施したのですが、LCC算出に約3カ月かかりました。」とLCCの算出に他業務も遂行しながら進めたと語ります。

 

作業自体は単純な一方で、Excelで何千行に渡り物件データとデータベースにあるデータを1項目ずつ突き合わせて入力する作業は大変だったようだ。「大量データ入力の作業に加えて、1箇所でもずれると計算が合わなく、大きな問題となるので確認作業が多く、かなりヘビーな作業でした。」と当時を振り返り話します。

 

手作業で3カ月にも及ぶ作業が、LCC自動算定ツールを利用すると1クリック1秒で算出できるため、業務効率の向上に大きく寄与している。実際に作業をされた田村氏をはじめとしたメンバーの方々は効果を非常に実感しており「完成したゴーレムさんのLCC自動算定ツールを見せた時は、皆おぉーって驚いていて大好評でした。苦労したこの3カ月間はなんだったんだ!みたいな感じでしたね(笑)」と田村氏は語ります。

 

「今回のLCC自動算定ツールの導入に伴い、今後は当社も過去の実績をベースとした、しっかりした数字を出せます!と自信を持って言えるようになったのが良いですね。これからは、先方から言われる前に出すようなレベルまで社内に浸透させたいですね。」とグループ長の滝山氏は言います。

今後について

大和ハウス工業が2030年に見据えるビジョン

LCC自動算定ツールの導入は、大和ハウス工業が見据える2030年の目標に繋がっているという。カーボンニュートラルの達成に向け、太陽光発電システムの100%搭載や、全ての施設のZEB化※1を2030年までに達成するという目標を掲げています。建築系共通技術部門 設備推進部 環境・設備グループでは『2030年までに、やれることはすべてやる』を基本姿勢としており、「社会的にはLCCO2※2に関する関心が高まってきており、お客様自身のESGに関する取り組みとしても、建物のZEB化は必要になってくるのに加えて、LCCを下げること自体がカーボンニュートラルに直結してくると思うんです。」と滝山氏は語ります。

 

また、大和ハウス工業としても当たり前にLCCの提案をしていく必要があるため、今回のLCC自動算定ツールの導入を皮切りに、あらゆる建設のLCC算出に向けたバージョンアップをしていくことを見据えているという。

出典:大和ハウス工業 カーボンニュートラル戦略 概略図

※1 ZEB:Net Zero Energy Building/省エネと創エネの複合で建物で発生する消費エネルギーを実質ゼロにする考え方

※2 LCCO2:ライフサイクルCO2/建築物などの建設時と運用時におけるCO2の排出量を算出し、評価する指標

社内変革を見据えた今後の新たな挑戦

滝山氏と田村氏のお二人に今後の取り組みについて伺ったところ、カーボンニュートラル戦略の実現に向けた社外に対する変革だけではなく、社内の生産効率の向上にも注力していきたいという。

 

社内では営業ごとに提案書のレベル感が異なるという課題を感じており、提案書の標準化をすることで業務効率改善ができると考えているとのこと。「別々の部署で同じような資料を作成しており、お互いの工数を無駄にしているという横展開の課題があります。それらの課題を解決するために、過去作成の提案書をデータベース化して、同じような物件規模の場合や、同じような課題を抱えていた事例を過去データから参照して、自動でパワーポイントに落としてくれるようなツール開発をゴーレム社と進めています。」と滝山氏は今後を見据えた取り組みを語ります。

 

また、社会的にも残業時間に対して厳しくなっている中で、同社も効率的な業務が求められています。この問題に対して「稼働時間に比例して成果物のレベルを下げることはできません。全体の生産効率を高め続けるための方法をずっと模索し続けなければならないと考えています。また、LCC自動算定ツールの応用で、LCCO2の自動算定ツールも作成したいですね。」と、滝山氏と田村氏は言います。

建設業界大手という立場にあっても、社内、社外問わず常に挑戦し、変革を目指している姿勢がお二人から伝わってきました。そんな姿勢を見ていると、会社全体で目指している2050年のカーボンニュートラルの実現という目標達成に向けた期待感も高まります。

4.png
2.png

〒102-0082

東京都千代田区一番町15番地21

一番町コート7階

© 2025 by Gorlem Inc.

bottom of page